Sunday 4 March 2012

グレゴール先生の講演会

人口65千人のベーケーシュチャバにも空手、合気道、剣道、柔道が習える道場があります。日本の武道は老若男女に関わらず人気があるようです。先週の金曜日にグレゴール・ラースロー(Gregor László)先生の講演会があることを義母より教えてもらい、夫と参加することにしました。義母は「講演会で、日本について間違っていることを言っていたら指摘してあげるのよ。」と言いましたが、私も日本について全てのことを知っているわけではないので苦笑してしまいました。
当日講演会の15分前に到着したにも関わらず、聴衆客は私達以外おらず。会場ではグレゴール先生が講演会の準備(主に写真の配列)をしていました。まさか日本人が来るとは思っていなかったようで、びっくりしていましたが、文化も違うハンガリーでの生活はさぞかし大変でしょうと労わりの言葉を掛けてくださいました。先生がパソコンに向かって準備している中、おそらく先生の息子さんと思われる小学生2年生ぐらいの男の子がコップに入ったお茶を先生のところに運んできました。先生は「残念ながら、緑茶ではなくフルーツティー。」と言い、準備をしながらも早く到着しすぎてしまった私達にも気を遣って話しかけてくださいました。
その後、続々とお弟子さんや道場に通っている子供達やそのお母さん達、先生の友人、知人が到着し、聴衆客は15人ぐらいになりました。
今回の講演会のテーマは、グレゴール先生が昨年9月に京都にある日本正武館の道場にて、日本の先生達との稽古・演武をし、その時の経験談でした。日本への往復航空券もスポンサーが付いて6万円ぐらいだったこと。東京から京都まで新幹線に乗ったこと。日本人が車内で寝るのは時間を節約しているためで、効率的だともおっしゃっていました。少なくとも私が車内で寝るのは効率を考えている訳ではないのですが・・・。スリなどに気を使わなくても良く、車内で寝られるくらい、日本は安全なのでしょうね。
グレゴール先生は歴史の学士も持っており、日本の歴史にも興味があるようで、日本の中心が京都にあったことも説明されていました。京都のお寺も金閣寺を含む12か所を巡られたそうです。
演武会では、空手のみならず、あらゆる武術の演武があったようです。人の輪の中で、人々が投げた林檎を刀で切り落としていく様子、瓦割りの様子をビデオに収めていらっしゃいました。グレゴール先生達の外国人チームの演武は、皆技術があるにもかかわらず、日本人の前で披露するとなると、かなり緊張したようです。今回の講演会でも日本人の私がいるため、あがっているともおっしゃっておりました。


グレゴール先生は日本正武館からの感謝状、勲章、日本で買った絵馬、壁飾り、50歳の誕生日に家族からプレゼントされた日本刀といった宝物まで会場に持ってきてくださいました。その日本刀は残念ながら中国製とのことでしたが、ここハンガリーで中国製の刀を探すのにもご家族は大変苦労して探されたことだと思います。講演中に感謝状、勲章、刀が手渡しで回ってきました。本物の刀が回ってくるとなると、ちょっと緊張しました。そっと鞘から刀を抜き出すと刀には「殺します」の文字入れが・・・。それほどよく切れるんですヨ、という意味なのか、ただの冗談なのかわかりませんが、背筋がゾーっとし、その瞬間、鞘に刀を納めてしまいました。その後、思わず吹き出してしまいそうになりましたが、日本語が分かるのは、この会場で私だけ。きっと購入されたご家族は「おそらく刀の製造者であろう」と思っているに違いないし、50歳の特別な誕生日のプレゼントであるという心温まるお話も伺っているので、この場で吹き出してしまうという失態はどうしても避けたいと思い、こらえました。
最後の質問コーナーの中で、「一番印象に残っている出来事は?」という質問があり、グレゴール先生は「体の不自由な人達に対して、家族も人々も非常に温かい愛情を持って接していることに感動した」とおっしゃっていました。
お金のためだけでなく、本当に空手が大好きで長年続けていらっしゃるということが感じられました。1984年以降ベーケーシュ地方の武道連盟の会長を務めていらっしゃるとのことですが、きさくで親切な印象を持ちました。これからも先生のご活躍を期待したいと思います。

グレゴール・ラースロー(Gregor László)先生について:
日本空手(国際武道)6
日本空手(日本正武館)5
キックボックス 5
柔術 4